第17回 R+House 全国大会 デザインコンテスト 総評 2025年10月21日
審査に当たって 「これからの住宅の在り方について」
「小さな回路」における、住宅の生産流通消費の全プロセスに関わる「アーキテクト・ビルダー」の可能性、「地域に固有なハウジングシステム」の構築、住宅設計から町づくりへの展開、オルタナティブ・テクノロジーの開発、DIY、セルフ・ビルドを組み込んだ住宅システム(プロセスとしてのハウジング)、多様な家族形態への対応、多様な集合形式の展開、都市型住宅の型の開発、共用空間の多様化、住宅の再生循環システムの構築、地域住宅生産システム、環境共生住宅の開発など・・・既にその萌芽はある。その行方を考えさせるのが布野修司編(2024)『はてしなき現代住居 1989年以後』(フィルムアート社)が取り上げるさまざまな事例である。
https://drive.google.com/drive/folders/10zJY7bhXrVu6BOKVOp52Kge0FXm1-IhI?usp=sharing

「総評」
審査に当たって,「これからの住宅の在り方について」短い所見を書いた。ひとことで言えば,nLDK住宅をいかに超えるかである。具体的に評価の視点としたのは,1.世帯の変化に対応するシステムが組み入れられているか? 2.地域社会への媒介空間が考慮されているか? 3.自然環境との共住が意識されているか? 4.何よりもユニークで楽しい空間が創り出されているか? である。応募[作品]は,それぞれ,施主-建築家-施工者の緊密なコミュニケーションをもとにした[仕事]として,水準の高いものであった。しかし,総じて,1.車のために敷地計画が大きく支配されている,2.緑が少ない・外構の設計が必ずしも十分ではない,3.敷地の読解すなわち立地する場所の固有性への意識が希薄である,4.架構形式の創意工夫があまり見られない、といった印象をもった。日本の住宅の現状を示しているのだと思う。
大賞候補[作品]として,以上のような視点から5点を選んで審査委員会に望んだのであるが,大賞となった「山あいの居場所」は、何よりも「地域に住み続ける」という強い意志が全体的に表現されている[作品]である。東京一極集中,「おひとりさま(単身世帯)住宅」が「終の棲家」になる中で,恵まれた自然の中で自足的に生きていくための住まいのひとつのモデルである。
審査員特別賞として5つの中から選んだ都市に溶け込むプライベートリゾート」は、都市型住宅のモデルである。7人家族でプール付きというのは、少子高齢化が進行する今や例外的に思われるかもしれないけれど,シェアハウス,民泊などサステナブルな利用が可能である。空き家が増え続ける一方でファミリータイプのみのタワーマンションが建てられる異常に対して、求められているのは新たな「集まって住むかたち」である。


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