木匠塾の目指すもの ざらざら,ぼこぼこの素材感 見聞録08,共同通信,200102

見聞録08
木匠塾の目指すもの
ざらざら、ぼこぼこの素材感
朝日町エコミュージアム
コアセンター創遊館
二〇〇〇年
山形県朝日町
元倉真琴+スタジオ建築計画 設計
布野修司
「木匠塾」という、毎夏、建築系の学生が樹木や木造建築について学ぶ集いがある。本拠地は、岐阜県の加子母村に置かれているが、奈良県の川上村や京都府の美山町などにも広がりつつある。
秋田県の角館町を中心に「東北木匠塾」が設立されたのは三年ほど前のことだ。その「東北木匠塾」が今夏は山形県の五十沢で開かれた。学生たちは、色漆喰で絵を描く鏝絵(こてえ)を競ったり、茅の葺き代え、炭焼き、草鞋(ぞうり)編みなどに実に喜々として取り組んだ。少し前の日本にタイムスリップしたかのようである。自然との親密な関係を維持する場所はまだまだ日本にはある。
近くに「まち全体がエコ・ミュージアム」という考えを「まちづくり」の基本に据えている町があるというので行ってみると、田圃の中に一風変わった建物があった。
町役場などが建つ大通りから見るとモダンな表情をしているけれど、背後に回ると、屋根は、後の里山に向かって大きく傾斜し、芝生で覆われている。なるほど、こうした景観への配慮もあるのか。
何よりも惹きつけられたのがみたこともないコンクリートの仕上げだ。土のようでやわらかで陰影がある。打ち放しコンクリートが近代建築の美学だ。かつては型枠の木目が残ったが、随分奇麗に打てるようになった。しかし、ここでは不規則にぼこぼこしている。
エキスバンドメタルという穴の空いた薄い鉄板を型枠に用いたものだ。この仕上げは内部も同じである。内装には節だらけの杉板も使われている。空間構成の全体は端正にまとまっており、そつがないが、「ざらざら」「ぼこぼこ」した質感が意図的に求められている。
確かに、全て工場生産された「つるつる」「ぴかぴか」の材料は、エコ・ミュージアムをうたう町には似合わない。身近な自然素材を見直し、現場の創意工夫で建築をつくる、それは「木匠塾」の目指すところでもある。













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