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バブリーなオランダ建築 ポストモダン建築の最後の競演、饗宴、共演!?,見聞録15,共同通信,200110

見聞録14

バブリーなオランダ建築

 ポストモダン建築の最後の競演、饗宴、共演!?

 ハーグ駅前再開発

 マイケル・グレイブス、シーザ・ペリ、レム・コールハウス、リチャード・マイヤー、アルド・ロッシ他

布野修司

趣のある歴史的建物の背後に異形の高層建築が二つ見える。オランダはハーグの王宮から中央駅前を望んだ光景である。左の砲弾形のビルは、シーザ・ペリ、右の急勾配の切り妻屋根が二つ連なるビルがマイケル・グレイブスの設計だ。

国際司法裁判所があり、歴史ある落ち着いた町として知られるハーグの駅前に、よくもまあ次々に話題作がそろうものである。コールハウスの出世作といっていいドラマ・シアター、リチャード・マイヤーのハーグ新市庁舎も隣接して建っている。国際的建築家の時ならぬ饗宴の感がある。それにしても、クアラルンプールの世界一高いペトロナス・タワー、NHK大阪など、このところのシーザ・ペリの世界を股にかけた活躍はすさまじい。

オランダ建築には昔から興味があった。アムステルダム派の建築が好きで随分見ている。長年つき合ってきたインドネシアの宗主国でもあり、オランダ建築や都市計画の世界史的展開には関心がある。ハーグには国立図書館、国立公文書館があって、このところ資料漁りのために通っていて気になってしかたがない。

まずは、オランダ建築の元気の良さにはびっくりするやら、うらやましいやらである。しかし、ポストモダンの建築などもう流行らないのではないのか。負け惜しみのようだが、大丈夫かな、という気がする。まるでバブル期の日本建築を見るようなのだ。

確かに、それぞれがハーグの町を読んで、それぞれに解答を出しているように見える。しかし、その解答の方向はばらばらなのだ。ハーグの町の未来がここに示されているとはとても思えない。

無味乾燥な近代建築の立ち並ぶ景観にポストモダンの歴史主義は確かに一撃を加えたかも知れないけれど、しっかりした歴史的街並みの前ではどうしても薄っぺらに見えてしまう。競演が饗宴に終始し、共演になり得ていないのが致命的なのである。

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