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コレクティブ・ハウスの行方 新しい共同住宅のあり方を求めて 使われない共用空間!?,見聞録18,共同通信,2002 01 21

見聞録18

 

 コレクティブ・ハウスの行方

 新しい共同住宅のあり方を求めて

 使われない共用空間!?

布野修司

阪神淡路大震災以後、コレクティブ・ハウスと呼ばれる共同住宅のあり方が追求されつつある。ヨーロッパでは、血縁関係のない単身者が台所、食堂、居間などを共用する住宅のことである。同世代が一緒に住む場合が多いが、シェア・ハウスと呼ばれる形式もある。日本の場合、今のところ、独居老人が一緒に住む形式が一般的である。

この「グループ・ハウス尼崎」は中でも先進的な一例である。個室が九つずつ左右にあり、真中に共用の居間、台所、浴室が配されるだけのシンプルな間取りであるが、居住者が実に生き生きとしている印象を受けた。面白いと思ったのは、僕がインドネシアで手掛けたコレクティブ・ハウスの間取りとよく似ていることだ。

もともと二つのケアつき仮設住宅を統合してつくられたのがこの施設である。知られるように震災後の仮設住宅では独居老人の孤独死が相次いだ。こうした共同施設の必要性が痛感されたのである。しかし、これはあくまで仮設住宅でその存続は危ういという。一方、厚生労働省が制度化したグループ・ホームは痴呆性高齢者に限定されている。

問題はこうした新たな共同住宅が必要なのは高齢の単身者に限らないことだ。女性の社会進出、少子化もあり、日本の家族のあり方は遥かに多様化しつつある。

いくつかのコレクティブ・ハウスを見せて頂いていささか暗然とすることがあった。いわゆる共用空間が全く使われていないのである。極端なところでは、共益費にお金がかかるというので共用室の蛍光灯が取り外されていた。そして、何よりも活気がない。全く状況は異なるが、インドネシアの場合、共用室は子供たちの遊び場でもあり、実に賑やかである。

高齢社会とはいえ、各世代がともに棲むのが街だ。各世代が棲む共同住宅の形が我が国にも欲しい。

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