
バタック・カロの伝統的住居
北スマトラ一帯にバタック族が居住する。バタック・トバ族,バタック・カロ族,バタック・シマルングン族,バタック・マンダイリング族など6つの種族に分かれるが,互いに近接しながら,住居形式は少しずつ異なっている。トバ湖およびサモシル島周辺に居住するバタック・トバ族の住居,集落がひとつの典型である。E.トッドの家族類型でいうと,父方居住の統合核家族である。バタック・カロは直系家族が同居する大きな住居に居住する。
住居は,棟が大きく反り,破風が大きく前後に迫り出した鞍型屋根をしており,内部は仕切りのない一室空間である。この大型住居にリペripeと呼ばれる父系の統合核家族,3世代の拡大家族が炉を共有して居住する。家長のスペースは入口を入って右奥というように,内部空間にはヒエラルキーがある。
集落は土塁と竹林で囲われ,リペが居住する住居棟と米倉が平行に配置される。住居棟と米倉の間の広場は多目的に使われる。この土塁,竹林で囲われた集落はフタhutaと呼ばれる。そして,フタの連合体からなる村落はビウスbiusと呼ばれる。
バタック・カロの場合,集落はクタkutaと呼ばれる。バタック・トバのフタより規模は大きい。トバのフタに対する地域単位はクサインkesainと呼ばれる。そして,統合核家族のリペに当たるのはジャブjabuである。バタック・カロの住居はバタック・トバの住居より大型である。中に4~6の炉が切られ,1つの炉を1ないし2家族(ジャブ)が使用する。全体では,4~12家族が共住する。20人~60人が一室空間に居住することになる。
バタック・カロでは,多くのクタが集合してクサインを形成する場合がある。住居棟が棟の方向をそろえて(川上―川下に合わせるのが原則)並べられる。米倉,脱穀などの作業棟,若衆宿,納骨堂などの諸施設が配され,カロ高原のリンガ村のように2000人規模になるものもあった。






















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