トンコナン――サダン・トラジャ

南スラウェシ中央高地のサダン・トラジャの住居はトンコナンtongkonanと呼ばれる。トンコナンは1室であるが,3つに分けられる。真ん中のサリと呼ばれるスペースは床のレヴェルが下げられ,炉が置かれる。居間,食堂,厨房兼用の多目的スペースである。奥のスンブンが家長のスペースとなり,入口のパルアンが客間もしくは他の成員のスペースとなる。

 サダン・トラジャ族の場合,双系的親族原理をもち,男女を問わず子供には平等に相続の権利が与えられている。E.トッドは,母方居住の統合核家族に分類している。トラジャでは,異なるトンコナン,両親の出生地,祖父母の出生地,或いはさらに遠く離れた先祖の出生地から出自をたどることができるとされる。親族関係に関する表現は,しばしばトンコナンという言葉で表され,「トンコナン内の兄弟」,「トンコナン結合」などと言われる。トンコナンの子孫は,自分たちの集団のなかから一家族を選出し,その家族は管理人として,その出自となったトンコナンに居住する。

サダン・トラジャの集落は,トンコナンと全く同じ形の倉が平行に並ぶ形で構成される。この住居と倉が平行に配置される形式は,バタック・トバと同じである。そして,この住居と倉や作業小屋などを並行配置する集落配置は,マドゥラ島のマドゥラ族,ロンボク島のササック族など東南アジア一帯で見ることができる。一方,スンバ島のように中心を丸く囲む円形タイプの配置もある。S.ユスワディらによる調査(Yuswadi 1973)によると,大規模な集落の場合,大きく3つのクラスターからなり,それぞれが円形に配置される(図SFⅠ6⑦)。それぞれは,人間の身体になぞらえて,頭,胴体,足になぞらえるとされる。バリ島の集落についても,同様の指摘がなされる。東インドネシアの集落配置についてコスモロジカルな秩序を指摘する議論はあるが,平行に並べるか円形に並べるか,集落配置も基本的にはシンプルである。

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