Malaysia Minankabau

西スマトラのパダン高原一帯に居住する。ムランタウ(出稼ぎ)慣行をもち,マレーシアのマラッカ周辺にも移住している。世界最大の母系制社会を形成することで知られる。住居は高床式でゴンジョングgonjongと呼ばれる尖塔をもつ特異な屋根形態をしている。

 9本柱の家,12本柱の家など柱の本数によって住居が類型化されるが,家族の規模に応じて柱間を増やす形をとる。ゴンジョングは2本,4本,6本の3種ある。住居の前部に1対の米倉をもつ。アンジュングanjungと呼ばれる階段状の端部は冠婚葬祭など儀礼時に用いられる。桁行き方向はルアングという単位で数えられ,梁間方向はラブ・ガダンlabu gadangという単位で数えられる。サ・ブア・パルイsa pua paluiと呼ばれる母系大家族が居住する。原則として,奥側の一間を既婚女性の家族が占め,前面部は各世帯によって共有される。家族および住居の規模を決めるのは既婚女性の数である。規模の大きいものは梁間4間(4ラブ・ガダン)で,ラジャ・ババンディングと呼ばれる。最大数十に及ぶ世帯が住んだ例もある。

 興味深いことに,マラッカ周辺に移り住んだミナンカバウは全く異なった住居形式に住む。前部にヴェランダ,居住部分,厨房と後ろに棟を付加していく形である。同じ民族でありながら,住居形式を全く異にするのが興味深い。住居形式は,建築材料など地域の条件に大きく規定されるのである。しかし,さらに興味深いのは,屋根の端部の棟を西スマトラの住居のゴンジョングの反り似せて上向きにすることである。この棟の反りに民族のアイデンティティをが表現されるのである。

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